地下鉄の駅でK-POPアイドルの広告を見て、「これ、誰が出してるの?」と思ったことはありませんか?
実は、あれは事務所が出しているのではなく、ファンが自費で出している広告なんです。
K-POP文化の中で、センイル広告(생일 광고 / saeng-il gwang-go)はファンが愛を表現する象徴的な方法のひとつとなっています。この記事では、センイル広告とは何か、なぜ出されているのかをご紹介します。
センイル広告とは?(생일 광고 / saeng-il gwang-go)

韓国語で「생일」は「誕生日」、「광고」は「広告」を意味し、あわせて「センイル広告(=誕生日広告)」と呼ばれます。
その名の通り、推しの誕生日を祝うためにファンが出す広告のことです。
ソウルに行ったことがある人は、おそらく地下鉄の通路やバス停で、アイドルの誕生日を祝う広告を目にしたことがあるのではないでしょうか。
これは「推しの誕生日を祝う」だけでなく、「より多くの人に推しの存在を知ってもらう」という目的も込められています。
センイル広告はどこに出されるの?

掲出場所は非常に多岐にわたります。
地下鉄の駅構内、バス停、街頭の大型スクリーン、さらにはカフェにも登場します。
カフェの場合は、センイル限定のカップホルダーや特典が配布されるイベントとして企画されることも多いです。
最近では、ラッピングカーを走らせるファンも増えており、道行く人々の目を引いています。
もともとは韓国特有のファン文化でしたが、今では日本、アメリカ、中国、東南アジア、ヨーロッパなど世界中で見られる現象になっています。
ファン同士で資金を出し合って実現することが多いですが、中には一人で全額負担する熱心なファンもいます。
なぜファンはお金をかけて広告を出すの?

理由はシンプルです。
「推しのために何かしたい!」という気持ちから。
誕生日を盛大に祝いたい、推しの存在をもっと多くの人に知ってほしいという想いが原動力です。
ただし、少しダークな側面もあります。中には「どれだけ豪華な広告を出したか」でファン同士が競い合うようなケースも……。
「私はこれだけ推しにお金を使っている!」という承認欲求が垣間見えることもあります。
それでも多くの場合は、誕生日祝いとしてファンみんなで楽しむイベントとして定着しています。
今や世界中で見られるように
センイル広告はもはや韓国だけのものではありません。
日本はもちろん、アメリカ、東南アジア、ヨーロッパなど、世界中のファンがこの文化を取り入れています。
資金を少しずつ出し合って大きなプロジェクトに仕上げることも多く、
「推しのため」というよりも、「みんなで何かを作り上げること自体が楽しい」と感じて参加する人もいます。
私自身も、センイル広告を見るためにソウルを訪れたことがありますが、現場にはファンがたくさん集まっていて、ちょっとしたお祭りのような雰囲気でした。
賛否もあるセンイル広告
韓国では、芸能人の肖像権がそこまで厳しくないため、センイル広告は長らく事務所公認ではないけれど黙認されてきた存在でした。
というのも、事務所が1円もかけずに宣伝してもらえる絶好の機会だったからです。
しかし、K-POPのグローバル化に伴い、「写真を無断使用するのは肖像権の侵害では?」という声もあがるようになり、賛否が分かれる文化になってきました。
とはいえ、どちらの立場にしても、「アイドルを思っている」という気持ちは同じ。
その意味で、センイル広告はアイドルがどれだけ深く愛されているかの象徴でもあるのです。
まとめ:センイル広告は“ただの広告”じゃない
センイル広告にはグレーな部分もありますが、それも含めて今やファンにとっては年に一度の特別なイベントです。
X(旧Twitter)では、どの駅やカフェにどんな広告が出ているかをファンがまとめてくれているので、
推しの誕生日が近いなら、ぜひチェックして現地に足を運んでみてください!
実際に見てみると、それはもう「広告」というより、“愛のかたち”そのものかもしれません。
コメント